About

言葉と行為によって、私たちは、人間世界に自分自身を挿入する。

ハンナ・アーレント 『人間の条件』

About Stranding Works

Stranding——撚り合わせて、一本の縄にすること。その語には「座礁(stranding)」、立ち止まり取り残される状態も同居しています。

私は、その立ち止まりを終わりではなく、次の一歩の準備期間だと考えています。
何があって、何を感じたのか。

事業に込めた想いや考えは、人それぞれ異なります。Stranding Worksは、その想いを一度ていねいに解きほぐし、 ロゴマーク・webサイト・各種webアプリ・業務効率化ツールという形に編み直します。

Stranding Worksは、想いを束ね、形に編み上げる、
小さなクリエイティブスタジオです。

designer

Sho Watanabe

以前、地方のニュースを取材する記者をしていたことがあります。
色んな人に「なんでこれを始めたんですか?」と聞くのが好きでした。
「エナジードリンクの会社にいたけど、体に悪いから甘酒で再現した」とか、そういう答えが返ってくるたびに、人にはそれぞれドラマがあるんだなと感じていました。

だから今も、クライアント様に一番よく聞くのはこの質問です。「なんでこれをやっているんですか?」

ビジョンやターゲットといった言葉を並べなくても、たいていの答えはその原点の中にすでにあると思っています。
それはその人だけのものだから、無理に作らなくても自然と唯一無二の形になっていく。僕はそう考えます。

COLUMN

大学時代、被災学生への招待という形で香港のデザインイベントに行く機会がありました。
そこでデンマークの建築家、ビャルケ・インゲルス氏の講演スライドを見て、単純に「かっこいい、僕もこういうの作りたい」と思ったのが、デザインに興味を持った最初のきっかけです。

翌年、2回目の香港でB&Oの当時のCEO、トゥエ・マントーニ氏の講演を聞きました。
「なぜ僕たちはただの四角いスピーカーを作らないのか。それは、僕たちがデザインしているのはスピーカーではなく、コミュニケーションが取られる空間だからだ」。
正確な訳ではないと思いますが、当時はそう受け取りました。
見えているものではなく、その裏にある意図や関係性をデザインするというあり方に、素直に感動し、また憧れたのを覚えています。

帰国後は、早速貯金を始め、Macを購入し、keynoteを実際にいじりながら、スライドのデザインを工夫するようになりました。
同時にIllustratorも覚え、ある程度触れるようになると、街の企業ロゴが自然と目に入るようになり、
「フォントは何か、モチーフは何か、なぜこのモチーフなのか」と、勝手に考えにふけるようになりました。
気づけば自分の名前のマークを遊びで作りながらマークや記号などへの理解を深めるようになりました。
当時のAdobeのソフトはCDで、欲しいソフト以外にもいくつか同梱されていたものがありました。
その中にDreamweaverが入っていたのがもったいなく、友人のかっこいいサイトを真似したくて始めたんです。
htmlとcssから始めて、そのうちコードの側に興味が移っていきました。
デザインを考えていたいのに、のめり込むほどエンジニアのような視点も増えていき、勉強の終わりが見えません。

就職してからは、なかなかやりたいことができない時期が何度もありました。
同じような苦しさを、場所を変えて何度も繰り返した気がします。
だからこそ今は、自分で考えて自分で実行できることを一番大事にしています。
個人事業主として独立しているのは、その反動が一番大きい理由です。

以前、業務委託で全国のローカルニュースを作る仕事をしていたとき、記者としていろんな地方でいろんな取り組みをしている人に取材する機会がありました。
僕は秋田在住なので、秋田県の方が多かったですが。
そこで一番聴きやすい質問が「なんでこれを始めたんですか?」でした。
そうすると十人十色の答えが返ってくるんですが、それが面白いんです。
「エナジードリンクの会社に勤めていたけど、体に悪いから甘酒で再現した」とか、「50年前、溶けないソフトクリームを作りたくてカッチカチのハードクリームを作ってみた」とか。
一つ一つのエピソードが今の活動につながっていて、まるで劇画のようなドラマがあるなと感じました。人にはそれぞれドラマがある、という感覚です。
だから僕は今でも「なんでやってるんですか」をいつも聞いています。
大体の答えはそこにあると思っていて、ビジョンとかターゲットとか、難しいカタカナを覚えなくても、その原点の中にすでに目指すべきものが含まれていると思っています。それは唯一無二だから、自然と形になっていくものだと思っています。

今はwebサイトやロゴマークの制作を中心に、Difyとの連携やブランディングなども行っています。
やっていることは、結局あの香港での気づきの延長にあると思っています。
目の前の見た目だけではなく、その裏にある意図や関係性を形にすること。
それを、自分で決めた形でやっています。